2016年10月28日
[94]理事長代行・誠心社会長 渡邉麗さん(68)
古典の『面影』を形に
「文字は昔から神への祈りを表したもの。逸勢がどういう気持ちで書いたか、古典のその先の『面影』を私なりに形にする。それが『現代書』の使命と思い取り組みました」社中展に続いて11月9日から12月4日まで座・高円寺で開かれる個展「書・墨・アート vol.7」で、橘逸勢の三十帖冊子1313文字を全臨。黒い和紙を張ったパネルの上に一文字一文字を切り張りし、まるで「書の宇宙空間」のようなアート作品に仕上げた。
父は現代書のパイオニア、國井誠海。6歳から父の指導を受けたが、公募展への出品は30代になってから。ところが、その作品は一般公開審査で最高点だったにもかかわらず、審査員の父から「辞退」を命じられた。「書は、心技体整って地道に上がっていくもの、という教えでした。いろんな思いがありましたが、それを糧に精進を続けました」 父も創作の傍ら、古典の臨書は晩年まで欠かさず続けていた。その姿はいまの自分の姿に重なる。
「古典に出会い、感動を伝える。書の中に自己を見出すことを目標に、これからも制作していきたい」(福本雅保)
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