2017年9月29日

[105] 産経国際書会名誉顧問・書成会参与 本多道子(ほんだ・みちこ)さん(93)

第34回産経国際書展出品作品「高岡伸作の詩」(縦90×横180センチ) 本多道子さん  第34回産経国際書展には、濃墨で書いた高岡伸作の詩を出品。毎年出席している東北展祝賀会で、「今年も無事作品を出すことができました。来年も頑張りたい」と力強く挨拶した。
 書会創設メンバーの國井誠海とともに第1回展から参加。東北展実行委員長を長く務め、平成元年に会長賞、19年には高円宮賞を受賞。93歳の今も現役として毎日筆を握り続けている。

 金属学者の娘として仙台に生まれ、戦中に東京女子大学を卒業した才媛。戦後結婚した大学病院勤務の夫の帰りが遅く、時間を持て余したのが書を始めるきっかけになった。
26歳のとき、高校教師の知人の紹介で、書家、田村桃渓に押しかけで弟子入り。「いろは」を500回書くところから始め、かなは「一条摂政集」、漢字は「孔子廟堂碑」など臨書を10年続けた。夫の福島転勤を契機に國井の指導を受け、今度は月1回、30年間休まず東京に通い続けた。
「家事も料理も苦手な私ができるのは書くことだけ。創作では、下手でも自分の詩や言葉を書きたくて努力を続けていますが、まだまだ勉強がたりない」という。
「最高の応援団」を自認していた夫は6年前に他界したが、「できれば、もう1回個展をしたいと思っています」
(福本雅保)