2018年2月23日

[110] 産経国際書会常務理事・永田学院院長 永田龍石(ながた・りゅうせき)さん(62)

第33回産経国際書展出品作品「良寛 東風吹時雨...」(縦240×横60センチ)
20180222_2.jpg 紙に正対するのではなく、右側に座って左手で筆をふるっていく。揮毫を終えて、初めて見る人に全貌がわかり、感嘆の声が上がることもしばしばだ。 数少ない左利きの書家。
「誰も教えてくれないので、自分で工夫するしかない。自然と今の形になりました」と振り返る。
父は産経国際書会常任顧問を務めた永田龍王氏。だが、「左利きが書家になるのは無理」とされ、指導は受けなかった。

代わりに目指したのは舞台俳優。日本大学芸術学部演劇専攻に進み、卒業後は、故勝新太郎さんの付き人になる話も進んでいた。ところが、勝さんが大麻密輸事件で逮捕され、付き人話は宙に。父からは、学院の経営に関われ、と言われたこともあり、「中途半端でなく本格的にやろう」と、書の道へ進むことを決意する。
つてを頼って隣県茨城の大家、浅香鉄心氏の門を叩くと、「左か右かは関係がない。要はやる気」と受け入れてくれた。
 産経展は、第1回展から出品。平成21年には、若手仲間の勝田晃拓、山本晴城両氏と「銀座三人展」を開催するなど、意欲的に表現を模索する。
 学院での指導の傍ら、ブログ「左利きの書家」を開設。おかげで、今も全国から左手で書道をやりたいという人が訪ねてくるという。
「はさみや包丁も左利き用が販売される時代。左利き用の指導書を書きたいと思っています」。
(福本雅保)