2020年5月15日

[135]理事・鍾雲書道会会長 大澤芳洲(おおさわ・ほうしゅう)さん (70)

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20200515_3_sumifude_02.jpg  5月16、17両日に、鍾雲書道会の本部が置かれる埼玉県寄居町で第47回の展覧会を開く予定だったが、「全国各地から作品を集める必要もあり、苦渋の決断を下すことになりました」と、初めての中止に踏み切らざるを得なかった。「会場の都合や季節的なことからもこの時期が最適で、延期も難しかったですね」と残念そうに語る。

 書との出会いは、社会に出てからという。
 「私は養蚕の農業指導員として、県内各地にある当時の農協を拠点に働いていました。養蚕農家を訪ねるだけでなく、書類を書く事務仕事もしないといけなかったのですが、字が下手で、『きれいな字を書きたい』と思ったのが、書に親しむきっかけでした」
 昭和48年から、職場の仲間らと、やはり植木の指導員をしていた馬場芳苑さん(先代の鍾雲書道会会長)を師に迎え、指導を受けた。当時は仕事にパソコンはもちろんワードプロセッサーもない時代。「きれいな字」は仕事上でも必要とされた。
 たちまち書の魅力に取りつかれ、「若いころは、仕事のない週末は夢中で書いていて、気が付いたら鶏の鳴き声が聞こえたこともよくありました。馬場さんには『古典を学べ』とよく言われ、それを肝に銘じてきました」。
 北海道から熊本まで1300人の会員を束ね、「日本の芸術文化の灯を消さぬよう、地域文化に根差しながら書道教育を広めたい」と語る。
(谷内誠)