産経国際書会

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農具を清める儀式から生まれた…「静」

 いつの時代じだいでも、農業のうぎょうは、天候てんこうむしがい収穫しゅうかくおおきな影響えいきょうあたえます。はるむかはたけ仕事しごとはじめめられるころ、殺虫剤さっちゅうざい化学肥料かがくひりょうもない古代こだい人々ひとびとはどう対応たいおうしていたのでしょう。

 左上ひだりうえ金文きんぶんてみましょう。右側みぎがわは、大切たいせつなものを保管ほかんするかみ倉庫そうこからされた農具のうぐ(耜=すき)「」の上下じょうげ両手りょうて」「」にったかたちです。左側ひだりがわは、井戸いどからりだされた鉱物こうぶつで、顔料がんりょう)として使われた青丹あおに」で、この青丹を耜にってきよめたことをしています。青丹は虫害ちゅうがいけるとわれ、農具に塗ることで豊作ほうさくを神にいのったのです。

 「静」という文字もじは、青丹で耜を清めはら儀式ぎしきあらわす文字だったのです。儀式によって穀物こくもつの収穫が「やすらか」であることをねがったので、「しずか」の意味いみにもなりました。

 こころが安らかだと気持きもちもゆたかになり、たのしいことがたくさんかんでますね。

(産経国際書会常務理事、眞田朱燕)